仕事に言って酒を飲むだけの日だった。
読書は結構進んだ。峠の中巻を半分まで読んだ。
河井継之助はいよいよ越後長岡の政治の実権を握るが、一方で大公儀によるかの大政奉還が行われた。幕府存続の危機である。継之助にも知らせが来るが誤報ではないかと疑り、飛脚を京へ走らせた。
何事も 変わり果てたる世の中に 知らでや雪の白く降るらん
という、戦国時代の大名佐々成政が読んだ歌を継之助思いだすという場面。
良いシーンだし、良い歌だ。越後も信州も、政権が右往左往する東海道からただ遠いだけでは無いのだ。あの大雪による閉塞感や自信の無力さを戦国時代にこんな風に読まれていたというのは感動的だった。
僕も信州という雪国の田舎ものなので、継之助の感覚がなんだかよくわかってしまう。彼は江戸に出るたびに突き抜けるような青い空で良いと評するのだけれど、僕もちょっと前までは東京に出るたび、特に冬には、どんより厚い雲のない綺麗な青で広い空を見て、東京に来たなあと思うものだった。