2016.10.4

小学生の頃に駒の動かし方が書いてある将棋を母親に買い与えられた。それを妹と指したり、自分だけでも指したりして、各駒の動かし方を空で覚えるほどには遊んでいたのに、うちの父親という人はまあ大人気の無いひとで小学生の相手に容赦の無い居飛車穴熊を指してよこして、それですっかりボロ負けしたもんだから、それからさっぱり辞めてしまった。

去年僕が好きなバンドの新譜が漫画の特装版に同封されるというので買ったのが3月のライオンだった。プロ棋士の漫画だった。プロになるのが目標じゃない、プロになったあとの、ゴールだと思っていた場所に辿り着いたら、そこがやっとスタート地点だったっていう、そういう漫画だった。して、今では世の中で一番好きな漫画となって、新刊が出ているのを、ほんとうに、心待ちにしている。

その新刊 12 巻を読んだ。11 巻の終わりまで、転々と常に出来事があって、主人公共々悩み続ける話だったのが解消されて、初めて、なんの暗さも無い、日常パートだった、と思った。これまでの辛みが醸されている。良い巻だった。