2017.10.09

DDD本勉強会の解説の番なので9章を読んでざっくりまとめている。結局ドメインエキスパートと良く対話せよと書いてあるだけなんだが、だらだらと回りくどい。

昨日行ったバーは良かった。相方が初任給を使ってバカラで買い物をしたら、バカラから B Bar のワンドリンク無料券が来たのだ。それは六本木ヒルズの足元に在った。入るとカウンター席が6つ、テーブル席が3つあった。カウンターの奥には葉巻をくゆらせる老婆が居て、顔の深い皺にまで丁寧に化粧が施され、両耳にはひし形のモチーフのピアスが紫色に光って見えた。手前には菜々緒の様な女と店の雰囲気とは不釣り合いなカジュアルな格好の男が座っている。どうやらカップルでは無さそうだった。女が機関銃のように喋り続け男は小気味良く相槌を打ち電子タバコを弄っていた。奥のテーブルには、おば様と呼ぶにはキレイ過ぎる上品な女性の4人グループがなにやら静かな声で話し合っている。

僕たちは一番手前のカウンター席に座って竹鶴の21年と山崎の18年をロックで頼んだ。楕円形の装飾の入ったバカラグラスに透き通った丸い氷が音を立てて静かに転がり、琥珀色の液体が注がれる様を見ていた。手前にバカラのマークの入ったコースターが用意されると、グラスがそっと置かれた。澄み切ったグラスと氷に、ウイスキーだけが色を付けることを赦されていた。

一口飲んで唸った。ウイスキーはこんなにまろやかな味わいだったのか。酒そのものの美味さもさることながら、このバカラグラスの飲みくちの滑らかさよ。一滴も溢れずするすると滑り込んできて腔内を犯していく。僕達に言葉は無かった。

バーテンダーは次々に注文される飲み物を様々なバカラグラスに注いてゆく。隣の菜々緒は英語で子供が欲しいと言った。葉巻を加えていたお婆さまは帰っていった。六本木の夜だった。