2018.10.21

引っ越しの準備をし始めた。家はもうほとんど決まっている。今度は駅にほど近いデザイナーズのアパートにした。

長野の田舎から上京してくるとき、東京を見下ろして過ごしたいと思って、今の部屋にした。毎晩丸の内のビル群の光をベッドから眺めて眠る。そういう生活に憧れて、実際やってみたけど、予想していたほど生活に潤いを与えることはなかった。こういう夜景はそれを眺めながら飲む赤ワインと、お喋りに付き合ってくれる恋人なり友達なりが、ムードを壊さず付き合ってくれて初めて成り立つのだと知った。

こんどの部屋は階は低いが部屋の隅々までデザイナーのこだわりが詰まっているように見えた。そういう部屋で、己の生活にもこだわりを持ち丁寧に暮らしてみることのほうが、窓から見えるきれいな景色よりも独身男性の心を癒やすのではないか。あるいはたぶん、東京に骨を埋める覚悟が決まったのかもしれない。得体の知らない都会が怖くて馴染みたくなくて見下ろすように暮らしていたけど、背の低い建物で暮らして街に紛れるというのに抵抗が無くなったのかも。