2019.07.19 天気の子

池袋のグランドシネマサンシャインこけら落としが天気の子だったから、0時ぴったりの最速上映には行かなかった。9時からの全国同時上映を見てこれを書いてる。平日朝で誰も見てないのでインターネットにネタバレをばら撒くのは気が引けたので日記に書き散らす。

天気の子というタイトルだったけれど平成の子を描きたかったんだろうな。一般に正しい正しくないとか言われてることよりも人それぞれに大切な事とか物とか人とかがあるじゃん?みたいなムードが平成生まれの間にはあって、それをお互い慎重に読み取って見て見ぬふりをしたり大胆に踏み込んでみたり出来ると友達になる。この平成プロトコルは進歩的なプロトコルなので実装されてない人も居て、無神経なコミュニケーションとか同調圧力はいっぱいあって、ああ嫌だなってみんな思ってるけど、平成プロトコルを押し付ける行為が前時代的なことを知ってるから、やられっぱなしになるしかない。

で、どうやって前時代的プロトコルに対応するのか?という思考実験の極端な回答を新海誠は持って来れるんだよなあ、すげえよ誠ォ…。

 

この思考実験の極端な回答は暴力だった。帆高に冒頭脈絡なく拳銃を持たせる。陽奈との出会いの時に自分が正しいと思うものを前時代的なものから守るときより原始的な暴力で使う。

その後、平成プロトコルを喋る陽奈に諭されて自分も平成側だというのを思い出して一度は捨てるのに、ピークの場面でまた前時代的プロトコルにさらされて、彼はまた銃を持つ。打たれた須賀のありさまが印象的だ。いつも偉そうにしているのに暴力に晒された大人はみっともない。だけど大人にも平成プロトコルに近いものがあって須賀は最終的に帆高を助ける。これが肝だ。本当は彼は寝返ってはいけなかった。前時代的なプロトコルに対する手段に暴力はダメなのだと言わなければならなかった。でもこれが新海誠が書いた筋書き。

時流のムードを質量のある勢いで駆け抜ける良い映画だった。