今週はずっと会社をサボっていた。同期が干された事件がショックだったのだ。誰も信用できなくなった。誰とも会いたくなかった。月曜日は夕方まで眠り少しコードを書いた。夜のうちに「明日も休みます」と社に連絡を入れて眠った。火曜日は起きるとまたコードを書いて、それからサピエンス全史を読み始めた。
結局のところ、わたしは経済合理性に基づいた冷徹な判断に納得できないだけなのだ。金を稼ぐということを全く理解せずに、経済合理性を重視する会社という集合に属していることが、いまのわたしの苦しみを生んでいる。だからこそ、大学で研究に打ち込む研究者に憧れるし、修道院で生活を神に捧げる日々を尊いと思う。しかし、わたしはいち社会人であるので非経済的な活動は会社では許されない。経済とは何か、資本主義とは何か、これを理解することが自分を救うと思った。それで、サピエンス全史を読み始めた。こんなにも経済合理性を優先するのは近代だけではないのか、そうでなかった時代について知ることで経済合理性を肯定できるのではないかと考えている。
夜、会社の女先輩から電話がかかってきて「今から家に行っていいですか」と言う。後輩を引き連れて彼女は来た。「くだんの女の子に振られたんですか〜?」と茶化される。違うんだそうじゃない。近所のバルで酒を飲みながらサピエンス全史を前述の理由で読み進めていたので会社を休んだのだと説明したら「なかなか遠回りをしていますね…」と言った。