2019.10.10 譲歩するのと相談にのるのは違う

開発に新しいチームができて、その様子を隣で見ている。そちらのチームのリーダーは社外でも腕の立つエンジニアとして有名人で、社内においても評価の高い方である。

立ち上がって2週間ほどで出来上がったものやその開発環境、チームの雰囲気がとても良くて、こちらのチームとの差はなんだろうと考えてみた。

エンジニアとしての力量は明らかに実力差として出ている。問題に当たったときの解決策を出してくる引き出しの数も質も圧倒的に違う。だが、これは許容できるな、と思った。

決定的なのは、開発に対する意思の違いだと思った。とある会議でデザイナーが「この画面は未だデザインに起こしきれてなくて手戻りが発生するかも…」と自信なさげに発言した。それに対して秒で「いや、手戻りないようにやって欲しいです」と隣のチームのリーダーが返して、場が一瞬ヒヤッとする。

これだ!と思った。開発リーダーの発言は開発チームとしての意思、あるいは大事にしているものの表れになるので、立場をハッキリさせる意見を出さないといけない。譲歩するのと相談に乗るのは違うなあと思った。

こんなこともあった。使用しているライブラリのアップデートがあり、メンバーの人が「今日アップデートしようかなあ」とチャットで発言するとリーダーが「俺がそっちに行くまでにアップデートしてね。あと10分。」と言って追い立てた。席まで着くと決め台詞にこう言った。「出たらすぐやる芸を身につけてね。」

彼の中で良いエンジニア像と良い仕事の像がクッキリとしていてそれを目指しているのがわかる。そういえば、前のチームリーダーもそうだった。彼らの中には明確に「こういうのが良い開発なのだ」というのがある。そして、その思想に乗っ取った振る舞いは自チームのメンバーのレベルも引き上げるし、他チームへも要求が高いので結果として全チームのクオリティを引き上げている。

最近モヤモヤとしていたのがクッキリと輪郭を持ったので鬱が晴れた。目指すべき場所も見えて嬉しい。