親が来ている。特に何も予定を決めず暇をつぶしに来たようだ。一日かけて池袋の街をふらふらと歩きながら、あらためて、やりたいことが無ければ東京と言えども退屈な街だということを感じた。予定無く行って楽しめるような場所は、例えば景色が良いとかご飯が美味しいとか、それを予定にした人で既に埋まっていて、ふらふらと気まぐれに行ったところで入れはしないのだ。予定の無い人間は、あとは金を使うしか無い。そういうわけで母親の買い物に付き合った。
丈の長いスカートが欲しいということだった。50代の女性は何を着るべきなのか、近年の婦人服のトレンドはなにか、おれにはまったくわからなかったが、一緒にふらついていると良い感じのスカートを履いているマネキンを見つけた。母親にはそのスカートは少し若すぎたが、店員が気を利かせて、年齢相応のちょうどよいスカートを持ってきてそれを買った。「母の日のプレゼントですか」と店員に言われたが予定の無い人間は金を使うしか無いのである。おれには本当は予定があったのだが、これを反故にして親の買い物に付き合った。
今日は予定を決めたようだ。日比谷ミッドタウンに行きたいと言う。混んでないか、心配であるが、まあ朝イチで行けば多少大丈夫だろう。
