2019.07.25 ぬいぐるみペニスショック

くだんのひとを池袋の良い店に行こうと連れ出して告白をした。彼女は予想外にも驚き、絶句してしまった。どうやら読み違えたらしい。ぬいぐるみペニスショックである。

彼女はやっと口を開くと「いつから検討していたの」と言う。検討て。一年前くらいだと答える。流行りのマッチングアプリで数千の男を捌く彼女に、何故そこまでやるのか尋ねたら、幸せになりたいのだと言ったのだ。それで、「どうやって幸せになるのか気になったからずっと見てた。気付いたら好きだった」と伝えた。これはクサイ。文字に起こすとヤバイ。

三月のライオンに、ヒロインが「私は絶対間違ってない!」と言って主人公が「雷に打たれたきぶんだった」となるシーンがある。おれはこのシーンを読みながらおれ自身も雷に打たれたきぶんになった。おれは自分で考えたことに自信を持ってないのだということを、このとき、理解して、そして自信を持つひとへの尊敬を手に入れた。彼女が幸せになりたいのだと言ったときもまた雷に打たれた気持ちになったのだ。

愕然としている彼女に、「最近おれのこと好きだったじゃない?」とこちらから聞いてみる。別れ際の粘着的視線や海外出張から戻ったときの「会いたかった」は何だったのと指摘すると、「最近あなたに対する自分の感情が変だな、と自分でも思っていた」と言う。それは…何なんだ…。

「私が断るとしたらどんな理由だと思う?」と聞いてくる。この女は本当に悪いやつだ。これに答えられるまで考え抜いてある自分も憎い。「2つあって1つは単純にあなたの男に求める閾値に金や顔面偏差値が足りてないこと、もう1つは僕自身の薄っぺらさだと思う。仮に付き合ったとして、より良い日々のために努力をしないおれの姿を見て見限られると思う」と話すと彼女はひいていた。当たっているらしい。

「おれはひとの感情や考えている内容の中身を察してしまう能力が高いらしい」と白状したら「どうやって身につけたの?」と聞かれる。「母親が殴るひとだったから身を守るために身についてしまったんだと思う」と答えた。

「考えていると見透かされそうで嫌だ」と言うから一軒目を出ると解散した。返事待ちのステータスだがこれは脈なしだなー。